災害廃棄物対策に関して今後検討すべき事項とその進め方(平成30年3月)
1. 継続的な災害廃棄物処理の実績の蓄積及び検証
- 毎年のように非常災害が発生している状況を鑑み、連続した台風による全国同時多発災害時の災害廃棄物処理をはじめ、全国各地で発生した非常災害における災害廃棄物処理に関する実績(平時の備えの取組状況や災害時の対応、損壊家屋数、災害廃棄物の推計量及び処理実績量、処理方法、処理体制、処理費用等)を共通の様式を用いて継続的に蓄積する。
- 蓄積した事例を次の視点で検証し、課題を整理する。
- 災害の発生頻度の変化や激甚化の影響の検証
- 災害の発生場所による地域特性の影響の検証
- 高機能材料(難燃剤など)の普及による災害廃棄物の組成への影響分析
- 生活様式や社会構造、産業構造等の変化による災害廃棄物の質の変化への影響の検証(太陽光パネルの普及、高齢者世帯や外国人世帯の増加など)
- 廃棄物処理及びリサイクル技術等の向上に伴う影響の検証
- 平時に収集・整理しておくべき情報(オープンスペース、有害物質や危険物など)の整理など
- これまでの災害廃棄物処理の実績と比較し特徴的な事例をアーカイブするとともに、教訓を抽出する。地域ブロック協議会等の場において、引き続き情報共有や意見交換を実施する。
- 蓄積した情報や教訓が自治体や民間事業者等に有効に活用されるよう、D.Waste-Netメンバー(国立環境研究所や廃棄物資源循環学会、地盤工学会等)と連携して、引き続き情報プラットフォームを整備・運営する。
- ボランティア等との連携について、自治体向けの手引きを作成する等の支援を行う。
- 一般廃棄物処理実態調査等を継続的に実施し、自治体等による災害廃棄物対策の取組状況を把握するとともに、自治体による災害廃棄物対策を推進するための方策を検討する。
2.災害廃棄物対策のあり方に関する検討
- 自治体向けのモデル事業の成果を検証し、自治体向けのモデル事業のメニューを拡充させ、自治体による災害廃棄物対策の実施を支援する。
- 環境省主催の自治体及び民間事業者向けの人材育成を実施し、災害廃棄物対応力の総合的な強化を推進する。
- 蓄積した災害廃棄物処理に関する事例の検証結果を踏まえて、災害廃棄物の適正かつ円滑・迅速な処理を実施するために必要となる技術・システム、制度等を次の観点から検討する。
- 災害に備えた災害廃棄物対策推進・支援体制の充実
- 災害に備えた一般廃棄物処理に関する業務継続体制の構築
- 災害に備えた廃棄物処理施設の整備及び効果的な運用の推進
- 災害廃棄物対策に関する研究開発
- 検討した新たな災害廃棄物対策についてFS等により具体化する。
3.関係者(自治体,民間等)との協働による災害廃棄物対応に関する検討
- 平成29年度に行った技術・システム検討WGや地域間協調WGでの成果を活用して、災害廃棄物対策に関連する民間事業者における災害対策の実施状況を継続的に確認し、民間事業者に対する情報提供のあり方を検討する。さらに、民間事業者に期待する事項をとりまとめ、実行力のある災害廃棄物処理態勢が構築できるよう連携体制を強化する。
- ITを活用した関係省庁との情報共有システムを導入し、データの活用を円滑に実施できる仕組みを構築する。
4.地域ブロック単位での災害対策の強化
- 地域ブロック協議会において都道府県域越えた広域連携についてとりまとめた行動計画を確認し、南海トラフ巨大地震等の大規模災害時におけるブロック間連携を実施するための、広域的な連携を具体化する計画を策定する。
- 地域における受援計画や地域防災計画との連携を推進する。
- 今後策定が進む、地域毎の適応計画との連携を推進する。等
5.D.Waste-Netの強化
- D.Waste-Netのリソースを最大限発揮できるよう、交流会等を開催し、体制の強化を図るとともに、地域ブロック協議会と連携して地域ごとに支援の体制の構築を目指す。
- 国立環境研究所や日本廃棄物コンサルタント協会等が実施する平時の取組を支援する。
- 人材育成と育成された人材が活躍できる体制を構築する。
6.国際貢献
- 日本が蓄積してきたノウハウや経験を活用して、国際貢献できるよう、国際機関や学術会議と連携し、平成29年度に策定したガイドラインを周知するとともに、アーカイブ集の作成を行う。
- 諸外国の中でも災害に特化した組織をもつ国の一つである米国における災害廃棄物の処理(特にハリケーンによる水害)に関する調査等を行い、諸外国の災害廃棄物対策に関する先進事例を分析する。