災害廃棄物対策に関して今後取組むべき事項とその進め方(令和3年3月)
1. 全国レベルでの検討
(1)継続的な災害廃棄物対策の検討
- 令和2年度は、令和2年7月豪雨等により、全国各地で同時多発的に甚大な被害が生じ、初動対応期における廃棄物処理体制に支障が生じた。こうした状況を鑑み、同時多発的に発生した自然災害を含む廃棄物処理に関する実績を継続的に蓄積・検証し、今後の大規模災害に備えた体制の強化を図る。
- 関係省庁やボランティア団体等の関係機関との連携を強化・標準化し、発災後の円滑な災害廃棄物処理体制の構築を図る。
- 人材バンクの登録者が239名(R3年3月時点)となり、災害廃棄物処理に係る支援体制の変化や法令改正などについて、支援者が最新の動向を常に把握できるよう定期的に研修を行う。また、各支援員の研修受講状況についてもリスト化し、支援依頼時の参考にできる体制を整える。さらに、今年度は登録者を対象として実施できなかった図上演習等を含めて、効果的な研修のあり方を検討する。
- 全国の自治体に人材バンクについて周知する際に、登録者が不足している分野の人材について登録を検討するよう依頼する。
- 支援員が被災地へ派遣された際に、被災自治体の信頼を得て円滑に活動できるように、継続的に人材バンクの制度・支援実績の周知を行う。
- D.Waste-Netとの意見交換を実施しており、発災時に迅速に被災地支援を行えるように、継続して意見交換の場を設け、D.Waste-Net内で平時からの関係構築を図る。
(2)災害廃棄物対策の技術・システムに係る検討
- 南海トラフ地震について、国内における処理可能量や広域輸送に必要な船舶数についても整理しているところである。今後、不足しているリソースについて海外からの支援の可能性も含めて検討を行う。
- 今後の課題として、域内におけるリサイクル率の向上や、陸送を含めた広域運搬手段の確保を計画したうえで、適正な処理期間の設定を行う必要があることが挙げられている。そのため、南海トラフ地震を対象に、試算されている処理可能量や輸送能力をもとに実態に即した処理期間の算定を行う。
(3)災害廃棄物対策の地域間協調に係る検討
- 地域間協調WGでの検討成果から得られた、被災側、支援側双方で有効と考える支援や支援を円滑・迅速に行うための留意点を地域ブロック協議会や環境省内で情報共有するとともに、人材バンク登録者に研修等を通じて周知する。
- 令和2年度地域間協調WGでの検討成果から、令和2年7月豪雨の被災自治体において災害廃棄物処理事業の全体像やスケジュール、段取り等がわからないケースがあったため、災害廃棄物処理計画の検証を被災側、支援側の双方がみることで、処理計画のどこに問題があったのかを検証していく。同時多発的に発生する災害に対する効果的な支援のあり方を検討し、支援の効率化に向けた具体的な取組を推進する。
(4)国際貢献
- インドネシアにおける法令整備の技術的助言を実施するとともに、災害廃棄物管理ガイドラインの技術資料の改訂を行った。今後も、アジア太平洋地域での国際貢献の可能性を検討していく。
2.地域ブロックレベルでの検討
- 人材バンクについては、環境省の現地支援チームの職員派遣やブロック協議会での人的支援を前提としつつ、対口支援で現地入りしている支援自治体と現地で連携を取って、支援を行う必要がある。
- 地域ブロック協議会のメンバーである都道府県を通じて、D.Waste-Netメンバーの各都道府県団体との連携強化を検討するなど、今後支援体制について検討する。
- 令和2年度の災害を含め、最近の災害対応を踏まえ、各ブロック協議会で行動計画の見直しを行っており、継続的に点検・見直しを行っていく。隣接する地方環境事務所間の連携については、地方環境事務所間で意見交換を行っており、引き続き検討を行う。
3.自治体レベルでの検討
- モデル事業を通じて得られた課題の解決手法を活用して、引き続き災害廃棄物処理計画の策定を促していく。また、処理計画の策定状況については引き続きHPに掲載し、計画策定を促していく。また、図上演習等を行うモデル事業などを通じて、継続的な自治体職員の能力向上を図ることに加え、策定した災害廃棄物処理計画の課題の抽出を行い、実効性の向上につなげる。
- 収集運搬体制について、令和2年7月豪雨では、環境省職員を被害が大きい市町村に派遣し、支援ニーズをくみ上げた。今後も、人材バンクの支援員も含め、自治体からの先遣隊の派遣を迅速、適切に行うことで、災害時に支援ニーズと合致した支援が行える体制を構築していく。
- 平時から自治体の廃棄物部局と社会福祉協議会で連絡体制を構築し、ボランティアと連携して災害廃棄物を円滑に処理できる体制の構築を推進する。