発災後の取組
技術的な対応
(1)政府全体の体制
環境省では、被災地における処理の現状、今後の見通し、問題点、支援ニーズ等を把握し、円滑かつ迅速な処理を進める上での積極的な助言を行うため、東北地方環境事務所の職員・研究者・技術者のチームを組織して、沿岸被災市町村の巡回訪問を数次にわたり実施した。
国立環境研究所の研究者や関係機関の技術者が、現地に出向くことで、現場での問題解決に向けた具体的な検討に資する有効な取組となった。
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第1回巡回訪問(平成23年5月末~6月中旬):マスタープランを受けた処理の状況、課題、支援ニーズ等を調査
(http://www.env.go.jp/jishin/attach/report_jyunkai01.pdf )
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第2回巡回訪問(平成23年7月中旬~7月下旬):処理が現場撤去から二次処理に移行しつつあることを踏まえ、破砕分別、焼却、リサイクル等の見通しや課題、域内処理の可能性と広域処理の調整状況等を調査
(http://www.env.go.jp/jishin/attach/report_jyunkai02.pdf )
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第3回巡回訪問(平成23年8月末~9月上旬):仮置場への搬入の進捗を受けて、二次処理以降の課題を重点的に調査
(http://www.env.go.jp/jishin/attach/report_jyunkai03.pdf )
- 第4回巡回訪問(平成23年9月下旬~11月末):仮置場の火災防止を重点に調査
(2)研究機関や学識者による取組
(1)国立環境研究所
国立環境研究所では、研究機関の立場から被災地域の復旧・復興に貢献するため、所内に復旧・復興本部を立ち上げるとともに(平成23年3月29日)、ホームページに東日本大震災関連ページを開設し、研究者ネットワークを活用した取組や、関連する情報発信を積極的に行った。
このような取組の一環として、被災地自治体職員とのネットワークを設定し、被災地からの様々な問合せに対して、随時知見や助言を提供する役割を果たした。また、仮置場での火災防止対策をはじめ様々な技術情報を取りまとめ、ホームページを通じて積極的に有用な情報発信を継続した。また、上記の巡回訪問にも積極的に参加し、専門の立場から助言を行った。
これらの取組は、やがて被災地支援の研究活動として体系化され、放射性物質による環境汚染への対応を含めた「災害環境研究」として、多岐に渡る研究が実施された。
また、災害関係の情報発信については、「災害廃棄物情報プラットフォーム 」を平成26年5月に立ち上げて、一元的な情報発信の充実を図っている。
(2)廃棄物資源循環学会
廃棄物資源循環学会もまた、当初から積極的な支援活動に取り組んだ。若手研究者を中心に「災害廃棄物対策・復興タスクチーム」を立ち上げ(平成23年3月18日)、その一週間後には、メンバーを現地に派遣するなど、精力的に情報収集や知見の集約、ネットワーク構築に取り組んだ。
その成果の一つとして、対応の基本に「分別」を置いた「災害廃棄物分別・処理戦略マニュアル」をいち早く作成し、平成23年4月4日に第一版を公表した。その後の活動の経験も踏まえて、これを平成24年4月に「災害廃棄物分別・処理実務マニュアル」として刊行するなど、知見の体系化と発信に努めている。